生き延ばして、秋

元バンドマン。情熱を失ってとりあえず正社員としてIT事務の形だけ正社員。うだつのあがらない毎日。何かがほしい。ほしくてたまらない。

うそつきカメレオン

駅の柱、鏡面に移る自分の姿は、はっきりとサラリーマンしていた。3年前の僕がみたらどう思うだろうか。人混みが嫌いだった。だから満員電車はなるべく避けて生きていた。それでも今このとき、サラリーマンであることを全うしようとしているのは、諦めていないということだろう。おれをバカにした、なめ腐った全ての人々をあっといわせたい。復讐したいとは思わなくなった。一つ大人になった証拠だろう。でも前以上になんとかしてやりたい、どうにかしてやりたい。そういう気持ちが強くなった。とにかく生き抜くことに全力になった。満員電車には人を押し退けてでも入り込むようになった。サービス業の人たち相手に強気になった。かっこわるい人間になった。かっこわるくてもいいから自分のために生きたい。生きて生き抜いて何かを手に入れたいと思うようになった。嘘です。本当なんてどこにもないんです。

 

ださいだろ。かっこわるいだろうこれがおれさ。目を逸らしちゃいけません。

帰り道、同じような格好をしたサラリーマンとすれ違った。思いっきり肩をぶつけられそうになった。避けた。でも少しぶつかった。刃はその切っ先だけでも誰かを傷つけうる。鋭利な心。全身刃物人間。誰かから見た僕もきっとそんなもんなんだろうな。過剰な自意識は自分を守る盾でもあり、誰かを傷つける刃にもなる。

 

頭がパンクしそう。考えることを避けるようになったツケだろうか。今日もお疲れさま自分。

 

生きていて良かった。そんな夜を見つけた。

こうやって蓋を開けてみると。頭の中はバンドマンだったころのことばかりで、何一つ前に進めていないような気さえしてしまう。バンドのファンだった女の子になんの気なしに連絡してみたんだ。動機なんて大してありゃしないから、ありがとうを伝えるっていう大義名分で。でも確かに僕はその子が本気で僕らのことを愛してくれたから病めるときも弾き続けられたし、本当に感謝していたんだ。でもそういう気持ちって改めて伝える機会がないからなかなか言えない。今だなって思ったんだ。その子、なんて行ったと思う?

 

「あなたがたがいたから人生変わりました。むしろお礼を言うのはこっちの方です。ありがとうございます。

 

だってさ。だいたいこんな内容のことを、一文ずつ、丁寧に、大切な宝物をどこかから取り出すように書き留めてくれた。嬉しい。嬉しすぎれその文章を直視することができなかった。たとえば本当に重要で申請な書物はみるのすらはばかられる。尊重しなくてはならない神聖な何かは、僕のような薄汚れた人間は見ることすら不敬のように感じる。ともかく、一つ、報われた、って思った。

 

「楽しそうなあなたがたは私の生きる希望でした」

 

楽しくなんてなかったさ。喧嘩も絶えないし、何より時間にルーズなあいつらにいらついていた。でも楽しそうに弾くように、楽しませるように弾くように、楽しんで弾くようにみんなそこは気持ちが一つだったように思う。きれいごとだと思うかな。きれいごとでもいいじゃないか。地べたを這いずり回る気力さえないような毎日。

 

幸せだから眠いです。寝ます。

ともかく最高です。ハッピーです。願いが叶うようになってきてるからいい方向に向かうきがしてる。

 

孤独は好きじゃない

大好きなライブハウスがあった。繁華街の隅の隅のほうにぽつんと、でもしっかりとした存在感をもってそれは存在していた。上京したてで二週間後、二回目のライブがそこだった。対バンには今ではメジャーデビューしているバンドもいた。ボーカルの旧友だそうな。弾く、何もわからずに、不安と期待と怒りと、入り交じり、弾く。鳴る。箱と僕が共鳴する。天井が低く、汚らしい箱だった。低い天井を駆けるように音が巡っていく。狭いから、自分の元まで返ってくる。稲妻のように、体がふるえるような情動。地元が大嫌いだった、東京も怖かった、不安でしかたがなかった。でも、よかったと、確かに、思った。お前等みんなぶっ殺してやるからな、ってライブしてた。でもみんな最高に愛してるからなとも思ってた。とにかく強い感情がそこにはあった。なんとかしてやりたいどうにかしてやるどうとでもなれって思ってた。若いというのは年齢だけではなく、そういう気持ちのことなのだと今では思う。そしてそのエネルギーは全てを凌駕しうる原動力なんだろう。失って学ぶことがたくさんある。ブッキングは僕と同じ出身の赤い髪の女の子だった。かわいい笑顔をする愛嬌のある子。暗い暗いライブハウスで、一筋の光を見つけたような気がしていた。その光を今でもずっと探しているのかもしれない。

 

ならしたいと思えれば。思えれば、年齢なんて関係なく、今でもかき鳴らしていただろうに。すっかり大人になってしまった、失ってしまって、無難で無気力な道ばかり選ぶようになったしまった。それもありかもしれない。世間的には尊敬できないまでも、全うといえる人生を進んでいる気もする。でも僕はもう終わってしまっている。こんな後悔は絶対にしたくないから全力でやった。とにかく全力だった。端から見たらしらん。でも僕の中では出し尽くした。それでも後悔してしまう。人間。所詮人間だった。

 

嫌われるのが怖いままじゃ何もできやしない。嫌われてもいいから何かしたい。どうにかしてしまいたい。

書を捨てよ街に出よ

私はすっかりつまらない人間なってしまった。休日に何をしたらいいか皆目検討がつかない。楽器、ゲーム、ギャンブル、お酒、読書。好きなモノはたくさんあるはずなのに。わくわくする心を失ってしまったのかもしれない。それさえあれば、何をしていても、誰といても、充実をより実感できるのかもしれない。さて、それはどこで手にはいるのだろう。町にでれば何か見つかるかもしれないとでてみても大したものは見つからなかった。それに今日はなにより秋の長雨だし、寒い。外にでるのはやめよう。誰かと会ってみようか。ストレスを不用意にためたくないので誰にも会いたくない。何かおいしいものでも食べようか。おいしいものは先週帰省して食べ尽くしたのでたいして食べたくない。マクドナルド程度でも十分満足できる舌なんだ。

 

その程度には退屈に過ごせるというのはある種幸せな境遇にいるのかもしれない。人間なんて不完全な生き物だから、特に私には足りないモノが多すぎるから、より多くの何かをほしがってしまう。欲望はつきない。もっと可視化されていてわかりやすければどんなに楽だろう。それともわからないから人生楽しいのかもしれない。楽しいってなんだ。健全に子供をすごさなかったので今でもくだらない葛藤に悩むことになる。

 

先週の帰省で姪っ子にはじめて会った。子供らしい無邪気で健全さを肌で感じた。パペットマペット的なおもちゃで全力で遊んだらなついてくれたようで、すっかり私は東京のおじちゃんになってしまった。子供がほしいなと思った。しかしそれさえ、面倒くささが先だって何一つ行動できないのである。

 

そう、好きになったあの子に告白でもしてみようか。しかしあの子は単身上京してくるんだ。伝手がまったくないわけではないが私における比重が大きい。つき合えたにしても、振られるにしても、彼女の心労になってはいけない。

 

新しい仕事も私の職場における役割がどうやら大きいようだ。責任をとる、中心としてがんばることを避け続けてきた反動なのかなとも思う。人生の中心人物は紛れもない自分だ。その自覚をもっていくべきなのだろうか。

 

書を捨てて町にでよう。何も見つからないかもしれない。でも何もしないよりはマシだ。

こんにちは、ありがとう、さよなら、またあいましょう

こんにちは、そしてはじめまして。

何もできない僕ですが、何もしようとしませんが、何かがほしくてたまらないのでブログをはじめてみます。

文章は比較的好きなんです。何かのきっかけになればよりよいなと思います。

 

どう誤魔化そうと根本は表現者なんだなと思います。あるいはひょっとしたら手軽さに逃げているのかもしれません。でも嫌な奴ばかりの世の中です。想像以上に大人の世界はしんどいです。27歳の若輩です。それでも思うことは山ほどあります。山ほどあるだけ一年前よりはましかなとも思います。すれ違いぶつかっていった誰かに多少いらつく程度には若いのだろうなと思います。犬がでてくる映画を見て泣きそうになる程度には大人になったのだなと思います。27歳。ロックスターが軒並み死んでしまう年齢です。音楽人としての僕は、恐らく、死んでしまったので。物書きとして生まれられればよいなと淡い希望を抱いたりもします。夢、といったほうが近いのかもしれません。

 

お酒が好きです。おおむねアルコールが入っていればオーケーです。ゲームも好きです。カルドセプトやシム系などちまちましたゲームが好きです。幸薄そうな女性が好きです。幸せそうな笑顔の女性も好きです。

そうそう、幸薄そうで、ほどほどに好きなあなたと見た海を僕は忘れることはないでしょう。ひょっとしたら退屈すぎたかもしれません。細身の彼女には少し寒く配慮にかけていたかもしれません。あなたに、たばこのポイ捨てを怒られて、携帯灰皿を持ち歩くようにしました。しばらくポイ捨てはしませんでした。でも面倒になってやめてしまいました。人間なんてそんなものです。願わくば、こんな僕を、今一度叱ってくれないかなと思ったりもします。しかし壊れてしまうのが怖くて、ラインを送ることを躊躇してしまいます。あなたからもラインはきません。きっとその程度なのでしょう。地元で嫌なことがあったあなたは、来年くらいに僕の住む町にやってくるらしいですね。楽しみでもあり、怖くもあります。唯一の10年来の友達を失いたくはないのです。ダメだダメだと思うほどに好きになる。これはきっと恋なのでしょう。

 

怒ってくれないかな。怒ってくれる程度にそばにいてくれたら、それだけでも幸せです。